2021年06月04日

目次

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目次
1 予期しない体重減少 2015.2.15
2 シニカルな高齢者は認知症のリスクが高い 2015.3.1
3 地中海食〜最強のダイエット?! 2015.3.15
4 「がんが自然に治る生き方」がベストセラーに?! 2015.4.1
5 ロレンツォのオイル〜希望と失望、そしてその後〜 2015.4.15
6 歩く会は健康上の益がある…… 2015.5.1
7 ヒトをがんから救うのは犬か、線虫か…… 2015.5.15
8 映画「エクソシスト」、悪霊の正体?! 2015.6.1
9 コーヒーは百薬の長!? 2015.6.15
10 MERS-CoV in Korea〜コロナウイルスの不都合な変貌 2015.7.1
11 「アマデウス」の真実?! 2015.7.15
12 脂肪細胞は脳にとって、敵か味方か?! 2015.8.1
13 医療の未来を変える……かも知れないマイクロRNA 2015.8.15
14 咽喉が変だ、咳が続く〜それって胃液の逆流かも 2015.9.1
15 適正な塩分摂取量とは? 2015.9.15
16 音楽は医療・患者ケアに貢献する……かな?! 2015.10.1
17 脂肪肝 甘く見てたら 肝硬変 2015.10.15
18 STAP細胞物語の終焉 2015.11.1
19 インスリン・レジスタンスという“抵抗勢力” 2015.11.15
20 ハム・ソーセージにはタバコ・アスベストと同等の発がん性?! 2015.12.1
21 血圧降下目標は140未満?!それとも120未満?! 2015.12.15
22 カルシウムは骨を強くするか? 2016.1.1
23 「健康食品」による不健康 2016.1.15
24 研究における遊び心 2016.2.1
25 最新がん治療・免疫チェックポイント療法の効果と毒性 2016.2.15
26 朝食を摂らないというリスク 2016.3.1
27 正常値と異常値が意味するもの 2016.3.15
28 日本だけ認知症が増加している問題 2016.4.1
29 “癪”という持病…… 2016.4.15
30 氾濫する情報〜カオスの世界 2016.5.1
31 糖尿病での高血圧治療目標は?! 2016.5.15
32 BMIと“肥満パラドックス”、そして体脂肪率 2016.6.1
33 “機能性ディスペプシア”というコモン・ディジーズ 2016.5.15
34 ABO血液型と病気 2016.7.1
35 運動でがんを防ぐ 2016.7.15
36 酒の功罪〜“アンタッチャブル・ジレンマ” 2016.8.1
37 歩きやすい街ほど健康に良い 2016.8.15
38 変形性膝関節症と太極拳 2016.9.1
39 なぜか盛り上がる“飲んではいけない薬”の話題 2016.9.15
40 主治医がAIになる日は来るか?! 2016.10.1
41 大腸がんの左右差 2016.10.15
42 脳が顔の好き嫌いを判別するとき 2016.11.1
43 前期高齢者が気になるカタカナの警鐘 2016.11.15
44 “5秒ルール”の真実 2016.12.1
45 休日が続くと体重が増える問題 2016.12.15
46 ヒトの寿命はどこまで延びるか? 2017.1.1
47 「いびきがうるさい」ではすまない睡眠時無呼吸症候群 2017.1.15
48 菜食主義でがんリスクは減少するか?! 2017.2.1
49 夜の光が肥満のもとに…… 2017.2.15
50 女性医師が主治医になると長生きできる…… 2017.3.1
51 エビデンス、ガイドライン、そしてその後に来るもの…… 2017.3.15
52 Narrative-based medicine(NBM:物語に基づく医療)というパラダイム 2017.4.1
53 ヒトの脳はふてぶてしいが、打たれ弱い 2017.4.15
54 “肝機能”の評価のためのガイドライン 2017.5.1
55 末梢動脈疾患(PAD)/閉塞性動脈硬化症(ASO)とABI 2017.5.15
56 ヒトはなぜ地上の覇者となり得たのか 2017.6.1
57 好中球数というリスク 2017.6.15
58 便潜血陽性後の内視鏡検査はいつまで先延ばしにできるか? 2017.7.1
59 “終末期医療事前指示書”問題 2017.7.15
60 地震予知と疾患予後推定を比べてみると…… 2017.8.1
61 旗色が悪くなった“適度の飲酒は健康に良い”という言説 2017.8.15
62 マンモグラフィーの“高濃度乳房”問題 2017.9.1
63 JFKの腰痛 2017.9.15
64 運動は認知障害を防ぐのか? 2017.10.1
65 運動に関する「マインドセット」が健康の鍵を握る…… 2017.10.15
66 がん治療における“代替療法”のリスク 2017.11.1
67 “夢見る頃”を過ぎると認知症リスクが高まる?! 2017.11.15
68 脳は薬価にだまされる……ノセボ効果の不思議 2017.12.1
69 “表情”というイヌたちの戦略 2017.12.15
70 やっかいな“無症状のインフルエンザ” 2018.1.1
71 飲酒と喫煙は外見を老化させる!? 2018.1.15
72 コーヒー摂取量と健康、結論はいかに?! 2018.2.1
73 フル・ムーンfull moonはバイク事故のリスク?! 2018.2.15
74 “雨の日は関節が痛む”という都市伝説 2018.3.1
75 ストレスは、がんのリスク因子か?! 2018.3.15
76 体温が高いと死亡率が上がる!? 2018.4.1
77 “飼い犬に手を噛まれる”についての一考察 2018.4.15
78 ハエ、マウス、ヒトが共有する体温日内リズム制御機構 2018.5.1
79 転移性脳腫瘍始末記 2018.5.15
80 血液型O型は重症外傷での死亡率が高い?! 2018.6.1
81 睡眠不足とアルツハイマー型認知症〜たとえ一晩の徹夜でもリスクが高まる?!〜
2018.6.15
82 座位時間が長いと時間旅行ができなくなる?! 2018.7.1
83 我が内なる海、マイクロビオーム 2018.7.15
84 “うつ病の時代”〜薬剤誘発性抑うつ障害 2018.8.1
85 がんになると糖尿病に罹りやすくなる!? 2018.8.15
86 pm2.5による大気汚染と糖尿病 2018.9.1
87 地球温暖化を防ぐ食生活とは?! 2018.9.15
88 静かに蔓延しつつある慢性腎臓病(CKD) 2018.10.1
89 “風呂は命の洗濯”のエビデンス 2018.10.15
90 “運動はがんのリスクを下げるPart2”〜夢、はかなく?! 2018.11.1
91 便潜血で分かる健康リスク〜大腸がんだけではない 2018.11.15
92 簡単な“体力測定”で糖尿病リスクを評価する 2018.12.1
93 フィッシュ・オイルは心の平穏をもたらす!? 2018.12.15
94 アスピリン“百年の夢”はうたかた!? 2019.1.1 
95 乳製品はやっぱり体に良い!? 2019.1.15
96 アルコールと健康2018 2019.2.1
97 インフルエンザが心筋梗塞をひきおこす!? 2019.2.15
98 血糖コントロールとがん罹患リスク 2019.3.1
99 高齢者の“正常範囲” 2019.3.15
100 “禁断のお菓子”を遠ざける方法 2019.4.1
101 “帰ってきた水ぼうそう”〜高齢者の敵、帯状疱疹 2019.4.15
102 “フレイル”が認知症発症の鍵を握る?! 2019.5.1
103 アドヒアレンスが良い人は死亡リスクが低い?! 2019.5.15
104 結核は稲作と一緒に渡来した?! 2019.6.1
105 女性の脳は男性より三歳若い?! 2019.6.15
106 肝機能検査で糖尿病発症を予測する!? 2019.7.1
107 “血糖アラート犬”登場!! 2019.7.15
108 高血圧治療における降圧目標は?! 2019.8.1
109 “イナーシャ”という難敵 2019.8.15
110 ナトリウムとカリウムの適正摂取量は!? 2019.9.1 
111 摂取する食品の種類が多いほどリスクが下がる!? 2019.9.15
112 「一日一万歩あるきましょう!!」と言ったのは誰?! 2019.10.1
113 塩分を取りすぎるとお腹が張る!? 2019.10.15
114 “白衣高血圧”というリスク 2019.11.1
115 幸福の棲家はどこですか? 2019.11.15
116 動脈硬化という“ヒトの業” 2019.12.1
117 脳内の獏、MCH産生神経細胞が夢を食べる 2019.12.15
118 がんサバイバーの心血管病のリスク 2020.1.1
119 楽天主義の人は罹患リスクが低く長生きする?! 2020.1.15
120 「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」 2020.2.1
121 ブルーライトを浴びすぎると寿命が縮まる?! 2020.2.15
122 カマンベールチーズで認知症を予防する?! 2020.3.1
123 宿題を先延ばしにするとメタボになりやすい?! 2020.3.15
124 対決、肉食派VS魚食派VS菜食派…… 2020.4.1
125 特別増刊号 COVID-19 2020.4.3
126 特別増刊号―2 「COVID-19の薬」、「COVID-19と薬」 2020.4.10 
127 人類の進化と情動を司る遺伝子変異 2020.4.15
128 特別増刊号―3  「COVID-19の薬」の続報と「COVID-19流行中の予定」
2020.4.28
129 噛めば噛むほど認知症予防…… 2020.5.1
130 ここ百数十年、平熱がさがり続けている?! 2020.5.15
131 COVID-19―4「PCR」と「アビガン騒動」 2020.6.1
132 骨格筋を護るラジオ体操 2020.6.15
133 糖尿病とがん、そして細胞競合 2020.7.1
134 イヌはネコよりヘビ毒に弱い〜消費性凝固障害の話 2020.7.15
135 “COVID-19―5アビガン臨床試験最終報告とワクチン開発を阻む!?「抗体依存性感 染増強」” 
2020.8.1

136 老化細胞をワクチンで除去する 2020.8.15
137 日本の伝統芸能従事者の寿命 2020.9.1
138 最近、自己免疫疾患が増加しつつある!? 2020.9.15
139 REM睡眠が長寿の鍵を握る!? 2020.10.1
140 アルツハイマー型認知症のリスクを下げるには?! 2020.10.15
141 「エピジェネティクス時計」でヒトとイヌの年齢を計る 2020.11.1
142 “良く生きること”が動脈硬化の進展を抑制する 2020.11.15
143 日本食を食べて長生きする!? 2020.12.1
144 E型肝炎ウイルス(HEV) 2020.12.15
145 “クリスマス増刊号COVID-19におけるハイ・リスク濃厚接触〜何が家族内感染のリスクとなるか〜” 2020.12.24
146 COVID-19と糖尿病〜やっかいな双方向関係 2021.1.1
147 虚血耐性〜血圧計で脳梗塞の予後を改善する 2020.1.15
148 NAFLD〜単純な脂肪肝でも死亡リスク上昇 2020.2.1
149 炎症反応とうつ病との関係 2020.2.15
150 瞳孔面積で心不全の予後を予測する 2020.3.1
151 休載のお知らせ 2020.3.15
152 ラストブログ 2020.3.16
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「みみずくの世迷言」書籍発行のお知らせ


高21回のHPに連載されていた高21回・元市立豊中病院病院長の故片桐修一さんのブログを書籍にして今年の秋に学年から出版いたします。購入予約の受付を始めましたので、お申し込みよろしくお願いします。
(片桐さんはがんとの闘病を続けながらブログを書いてくれました)
まだ出版冊数が決まってないので、あらかじめ購入予約いただきますとたいへんありがたいです。どなたでも購入していただけます。

チラシ-s.jpg
(画像をクリックするとpdfファイルがご覧になれます。)

内容は最新医学論文のわかりやすくユーモアあふれる紹介です。151編あります。たいへんためになります。

片桐さんは市立豊中病院の病院長時代には病院のHPに「病院長のブログ」を連載。大阪府医師会の会報にもエッセイを書いていました。それは昨年大阪府医師会から出版されています。

大阪府医師会会長の茂松茂人さんや脚本家の今井雅子さんの推薦文にもありますように、面白くて、ためになって、温かい気持ちになります。自信を持っておすすめします。
ご予約いただきますと、秋に振込用紙をお送りしますので、代金が届きましたら書籍をお送りします。
よろしくお願いいたします。
予約申込は 丸山まで 
mail(アットマーク)mikuni21.com 

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2021年03月16日

ラスト・ブログ

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このブログがアップされているということは、皆さんとは「幽明境を異にした」ということですね。とにもかくにも、今までの友情に厚く御礼申し上げます。

第1回のブログで書きましたように、2013年5月半ばに急激な体重減少に気付きました。「まずい!」と思って血液検査を行って、「これはやばい!」という結果がでたので、がん病巣を検索する陽電子放射断層撮影(PET)を受けて胃がんの診断に到達するまでは4日間、手術まで2週間でした。4月以前は何事もなく、5月に入っても体重減少以外には何の症状もありませんでしたが、既に“絵に描いたような進行がん”でした。まあ、良くあることなのですが。

1975年に医学部を卒業して以来、そのキャリアのほとんどを内科、とりわけ血液内科領域でのがんの診断と治療を専門にしてきたので、進行胃がんが見つかったときには、さすがにちょっと恥ずかしかったな〜もっとも病理検査の結果(病理学は嫌いじゃないので、自身でも顕微鏡で確認してみました。まあ、宿主に似ない“凶悪な面構え”でした)とその後の経過を考えると、非常に“未熟ながん(=とにかく増殖速度が速い)”だったので、毎日体調に気を配っていたとしても、あと10日早く見つけられたかどうか・・・・・・まっ、言い訳だけど。

その後の経過は率直に言って、良くも悪くも“短期的予測はしばしば外れ、長期的予測は当たり”感があります。手術後3ヶ月もしないうちに肝転移が発見されて、「こりゃ、すぐに再発するな〜もって2年かな〜(肝転移は“勝負あり”のサインです)」と思ったら、肝転移の局所治療に成功して以後再発なし(たぶん合併症の腹腔内膿瘍=細菌感染症によるがん免疫賦活作用のおかげ)。「こりゃ、相当ツイてるな〜 “プチ奇跡”も夢でないな〜」と思ったら、手術から3年6ヶ月で肺転移出現、しかし肺転移は綺麗に切除できて、他に病巣もなく、「こりゃ、しばらく安定するかな〜」と思ったら、術後わずか1ヶ月で腫瘍マーカーがうなぎ登り・・・・・・やむなく外来化学療法を開始して、途中良く効いた時期もあったのですが、翌年には脳転移が見つかり緊急脳外科手術と術後放射線治療・・・・・・その後数か月の間、脳転移や肺転移を各個撃破しているうちに1年ほどの平穏な期間も過ごせたのですが、2019年11月にリンパ節転移が出現、その後は負け戦というか、先細りというか・・・・・・医師としてがん治療計画に参画し、最終決定を下した最後の症例がまさか自分自身になるとは・・・・・・別な言い方すれば、血液学分野を中心に、かなり広くがん診療に関わってきて、それなりに経験も知識も積み重ねて、いちおう判断力や分析力もあまり老化しておらず(と信じていた)、総合力でピークになったはずの職業的能力を、キャリア最後の7年間(注)、自分のためだけに使うはめになったというのは、「なんだかな〜」という感じです。

ご存じの方もおられると思いますが、この私、とても小心者で自分に自信が持てない、というおよそ医師向きではない性格です。それでも医師になってしまったのですが、他人の人生を預かるような臨床医になれるだろうか、という不安がありました(医学部を選ぶ前に考えろよ、という話なのですが)。そんな不安を抱えながらも、さまざまな巡り合わせで専攻したのが血液内科でした。血液内科では主として白血病・悪性リンパ腫・骨髄腫などの血液がんと再生不良性貧血などの血液難病を扱います。内科の他の分野に比べると、思春期や若者の血液がん患者さんが多いのが特徴です(最近は高齢者の絶対数が増加しているので目立たなくなりましたが)。当時(昭和50年代)の血液内科の治療の中心は血液がんに対する化学療法、難病に対する免疫抑制療法でした。血液がん化学療法については、他の領域に比較すると“ずっとまし”だったのですが、それでも治癒が達成できることは少なく、治療当初は明るい未来を予感させるような劇的な効果が得られるのですが、しだいに治療的抵抗性となり、患者さんも主治医も追い詰められていく・・・・・・その繰り返しでした。

患者さん達が、とりわけ自分よりずっと若い、あるいは同年配の患者さんたちが徐々に終焉に向かっていくのを見るのは、つらいことです。それでも主治医は常に彼らの心の支えにならなければなりません。私は、芯が強い人間ではありませんでしたから、“素の自分”では心許ないので、“違う自分になるのは無理にしても、違う自分になったようにみせねばならない”と考えました。いくら自信がなくても、不安にかられても、その素振りも見せず、「頼りになる主治医」の“着ぐるみ”を着ることにしました。まあ、何とか着続けられたかな、それとも見透かされていたのかな・・・・・・

ただ患者さんにはほんとうに恵まれました。もし私が一人前の医師になれたのだとしたら、それは患者さんたちのおかげです。病床で感じる患者さんからの友愛と信頼の波動は、何事にも代えがたい贈り物でした。とくに “若くして透徹した死生観をもって死に向き合うことができる”たくさんの十代、二十代の患者さんたちのことは、今も忘れられません。なぜあれほど立派に振る舞えるのか・・・・・・私は自分の順番が来たときには、彼や彼女たちには到底及ばないにしても、できるだけ恥ずかしくない態度で受入れようと誓っていました。そうしなければ泉下の(あるいは天上の、でしょうか)私の患者さんたちに会わせる顔がありません。今でも彼らにぜひ聞いてみたい、ずっと気になっていることがあります。

「たとえわずかでも、私はあなた方の力になれましたか?」

着ぐるみを着続けて、私は変わったのか、と言われたら、中身は全く変わっていません。いくつになっても、いかなる職位になっても、昔のままです。だから晴れがましいことや、真ん中で注目を集めることは苦手です。ですから「偲ぶ会」はご辞退申し上げます。だって恥ずかしいじゃないですか(もう生きていないから良いじゃないか、というツッコミは止めてくださいね)。それより同期の皆さんには平均して男性で約10年、女性で約15年の人生が残っています。人生の黄昏の時を十分楽しんでください。先に逝ったものは忘れ去るのも良し、たまに想い出すのも良し・・・・・・せっかくの余生、基本、前だけを向いてラスト・スパート!・・・・・・後ろを向くのは、終焉が見えた時で十分です。それまでは頑張ってくださいね。

私の一番好きな映画・・・・・・高校1年の時に観た「Gone With The Wind」・・・・・・そのラスト・シーンで、ビビアン・リー扮するスカーレット・オハラは「Tomorrow is another day!」と言います。「明日は必ず来る」という訳はしっくりきません。「明日は別の日」「明日は明日の風が吹く」は軽すぎです。たぶんこの言葉は、「明日に希望を託して生きる」という意味だと思うのです。若き日に出会って、先に逝った私の患者さんたちは、まさにそう思って一日一日を生きていたに違いありません。願わくば、みなさまの“それぞれのtomorrow”が希望に溢れたものでありますように!

では、See you again, my friends!(どこで会うんだ、ということは気にせずに)
ありがとう、さようなら。
2020年2月21日作成

(注 7年間 このブログの原稿が書かれたのは昨年ですので、正確にいうと8年間になります。)
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2008年5月24日21みくにフォーラムで講師をしていただいたときの写真(57歳)

片桐修一さんは2021年3月16日午前11時に逝去されました。
心からご冥福をお祈りいたします。

片桐さんをご存じの方はおわかりだろうと思いますが、何事も準備がたいへん早く、このラストブログの原稿も最初は2018年にいただきました。そのあと最近の治療法の進歩のおかげとおっしゃっていましたが、抗がん剤の副作用はあるものの、毎日病院に勤務されて仕事を続けていける状態で過ごされていて、昨年2020年にまた書き直したものをいただきました。
昨年末にも高校同期のメールマガジンに転倒防止策について論文の紹介をしてくださるなど、まだお元気なご様子でした。

ただ年末にはもう治療方法がないので、緩和ケアに移行しないといけなくなってきたと聞いておりました。今年になってしばらく入院されていましたが退院されて自宅療養されていたそうです。先週、電話で少しだけお話しましたが、痛み止めのせいで頭がボッーとしている、呼吸不全を起こしていて少し何かすると呼吸が苦しくなるとおっしゃっていて、このブログの掲載ありがとうと言ってもらったのがお別れの言葉になりました。
2015年2月15日から始まったブログは全部で151、昨日掲載予定のものがこのラストブログになるというほぼ完璧なスケジュールでした。まったく人を待たせたり約束を違えたりしない片桐さんらしいです。3月6日の誕生日は迎えたいなとおっしゃっていて、それもクリアされてきっと約束は全部果たしていかれたのだと思います。

ブログの内容は最新の研究論文を読んで、根拠のきちんとしたものを選んでかみ砕いて書いてくださり、新聞などでニュースになるよりも何カ月も早い情報提供で、科学的な考え方や情報の取捨選択の方法などたいへん勉強させていただきました。

片桐君、長い間ブログの掲載ありがとう!
またお会いしましょう! 
              
2021年3月16日  丸山登志子

posted by みみずく at 14:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記