2019年04月01日

“禁断のお菓子”を遠ざける方法


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“禁断の果実(Forbidden fruit)”は、私のようなキリスト教信者でない人間でも知っている有名なエピソードです。出典は「旧約聖書」の「創世記」。曰く、エデンの園で暮らしていたアダムとエバが、悪魔の化身だった蛇に唆されて神様から禁じられていた“知恵の樹の実”を食べて楽園を追放される・・・・・・ジョン・ミルトンの叙事詩、「失楽園」ですね・・・・・・私は本屋で立ち読みしてすぐ止めたけど・・・・・・読破した方がおられたら尊敬するな〜でも原題の英語名「Paradise Lost」って、ちょっと素敵な響きがありますね。

では現代の“禁断の果実”とはいったい何でしょうか。もちろん合法的なものに限ってですけど・・・・・・病気を中心に考えると、やはり体に悪い食べ物の代表、肥満や糖尿病の最大の敵、つい手がでる美味しいお菓子もそうかも知れません。これら“禁断のお菓子”の悪影響については、広く周知されているはずなのですが、いざ目にすると、きっぱりと“買わないという選択”ができる人はそう多くはないでしょうね。

“国民の疾病回避・健康増進”という観点に立って、“健康的ではない食品をどのようにして避けるか”という問題を考えるとき、国民個人の努力や克己心だけに委ねていいのか、という議論があるのです(もちろん私自身も克己心に自信がない、ということは自信をもって言えます)・・・・・・すなわち食品提供者の方も何らかの努力と責任を果たすべきではないか、という意見があります。そこでひとつの例として、スーパー・マーケットの「レジ横の菓子類の陳列」が挙げられます。「今日は甘い物は厳禁、誰が何と言っても、絶対お菓子は買わないぞ!」という強い意志をもって買い物に来た人に、最後の最後でレジ横で“悪魔の勧誘”をするのは“エデンの園の蛇同然の所行”ではないか、という批判がありました。

そんな大袈裟な、と思う方もあるかも知れませんが、年々肥満の問題が大きくなりつつある英国では、2013年に大手スーパー9社のうち6社が「レジ横に菓子類(砂糖菓子、チョコレート、ポテトチップスなど)を置かない」との決定を実行しました(これを名付けて「チェックアウト・フード・ポリシー」と呼びます)。そこでケンブリッジ大学のグループは、これにより消費者行動にどのような変化が生じたかを検討を行ったのです(プロス・メディシン誌 2018年12月号)。

さてこの「チェックアウト・フード・ポリシー」の効果、なかなかどうしてたいしたものでした。購入食品をすべて記録している30,000家庭(きっちりした家庭もあるのですね〜)を対象とした2013〜2017の調査では、上記菓子類の購入(家庭へ持ち帰り分)は実施直後から17%減少し、1年後でも16%減少を維持していました。また持ち帰りせずに外で食べる食品の購入をすべて記録している7,500人(これまた、きっちりした人もいるのですね〜)を対象とした調査では、レジ横に菓子類を陳列している店と比べてみると、購入が何と76%も少なかったのです。やはりスーパーにおいて食品の陳列場所というのは購買意欲や購買欲求に大きな影響を及ぼしていることが分かりました。

こうなると、“国民の疾病回避・健康増進”のための新たな戦略が浮かび上がってきます。スーパーなどの食品販売者側の理解と協力を得て、健康に悪影響を及ぼす可能性が高い食品・菓子類をレジ横から一掃するのはもちろん、目に触れにくいところに移動してもらう、という対策です。販売者側も商売だから、そう簡単には納得できないとは思いますが、ここは国民の未来がかかっているのだから、せめて「レジ横陳列だけは」止めて欲しいものです。

もっとも、この“健康志向・菓子類のレジ横からの追放”が一大ムーブメントとなって全国に広がったらどうなるでしょうか・・・・・・私は予言します!・・・・・・日本中のスーパーのレジ横には、ありとあらゆる健康食品とサプリメントとが満ち溢れることでしょう!・・・・・・

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さて、このブログも掲載開始から早4年、今回が記念すべき100回目です。 
今まで読んで下さっている皆様、このHPとブログ記事掲載を管理して頂いている丸山登志子さんに厚く御礼申し上げます。

今後も同期の皆様、読者の皆様の健康維持に少しでもお役に立てるよう、また私自身の認知機能のセルフ・チェックのためにも続けていきたいと思っています。まっ、そんなこと言ったらすぐ終わってしまいそうなので・・・・・・実は市立豊中病院で週2回“病院長ブログ”を病院HPに連載していたのですが、100回達成!したとたんに病気になって、あえなく105回で終了・・・・・・教訓を生かし、意識せずに、あくまで一歩一歩、自然体で・・・・・・

ではまた。

posted by みみずく at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記