2015年03月01日

シニカルな高齢者は認知症のリスクが高い

片桐先生2.jpgこんにちは,片桐です。突然ですが、皆さんの中に「人なんて自分のことしか考えていないし平気で嘘をつく」「所詮他人は信用できない」と思っている方はいませんか?また、「何で私がしないといけないのか!やる人間がバカをみるだけじゃないか!」とか言った覚えのある方はどうかな?21期にはたぶんいませんよね〜でも、ちょっとくらいはいるかも!?・・このようなシニカルな生き方(シニシズム、欧米では“シニシズム的不信‐cynical distrust‐”とも言われます)、できれば改めるほうが良さそうです。というのは、この“シニシズム的不信”の度合いを表すスコアの高い高齢者は認知症のリスクが高まる、という論文がフィンランドの研究者によって米国神経病学会誌に報告されたからです。

この研究によれば、シニシズム的不信は、他の要因を考慮しても認知症発症との関連が認められ、最大3倍のリスク増加があるそうです。ちなみに研究で使われたシニシズム度を測るスケールは1954年に発表されたCook-Medley Scale(本邦では何と「敵意スケール」と呼ばれています)です。このスケール、「ゴジラ」と同い年で既に還暦を迎えているので、今日でも通用するのか?と思わないではないですがが、さまざまな健康問題との関連について既に多くの論文が発表されています。「敵意スケール」、ちょっと興味ありますよね?自分の周りの人たちを対象に検査してみたくないですか?
でもたぶん協力はしてくれないだろうな・・まっ、検査しなくてもだいたい想像はつきますけどね。

この論文の著者は、シニシズム的不信という認知症の危険因子は修正可能なターゲットであると考えているようです。老後の幸せのためにシニシズム脱却!「ほんとうだな?信じて裏切られたら責任とってくれるんだろうな?振り込め詐欺にあったら弁償してくれるんだろうな?」・・なんてことを言うのもシニシズム的不信の徴候かも知れませんよ。

確かに私たちにとっても高齢者直前の今こそ、生き方を考え直すラストチャンス?!・・でも気になることも・・まず論文の結論が正しいかどうか分かりません。掲載された雑誌は立派な専門誌だけど、複数の追試で検証されないと確実とはいえません。それに・・この年になって生き方や考え方を直すなんて、無理、無理・・と思ってしまうのです。

posted by みみずく at 10:00| 2015年